「あなたへのあの声はあの日のまま」

 

暗く長いトンネルをずっと歩き続けてきました。そこに差し込んだ光は眩しすぎるものでした。
担当と呼ぶには今更図々しくて、元担と呼ぶには遠すぎるそんな存在のひとがいます。
 
ずっとずっとだいすきでした。青春時代を彼と共に過ごしてきました。辛い時は彼の歌声を聞き、彼の名前を心の中で何度も何度も唱えてました。痛いでしょう。でもそれが支えだったんです。
 
ずっと前から知ってて、でも姿を見なくなってしまって、たまたま点けたテレビに映ってた彼。目尻にいっぱい皺寄せて笑ってる姿に惚れたんです。もう10年近く前の話になります。
 
たくさん思い出があるけれど、やっぱり08年の秋のことは一生忘れられません。何もないところにポツンと建てられたそこには、まだ少し残った暑さとこれから訪れる涼しさが混じった風がびゅうびゅう吹き荒れてじっと立っているのも一苦労。テントからはリハーサルの音と笑い声が時折聞こえて。テントの中は立ってはいけないと言われていたのに指をくいってするから立ち上がって思いっきり振り回した赤タオル。後のツアーではダストとの戦いに負けてティッシュで鼻かみながら「赤タオル族ほんまにバカばっかやな!」って言ってた。「フラフラ」、まだ10代だったから20代のところで声をあげるのが夢だった。とにかく、赤タオル族で居ることが誇りでした。「Flower」の夢ある人居ますか、で弱気で天邪鬼なわたしはいつまでも手を挙げられなかったから次こそは…ってずっと思ってた。
あっという間に武道館の夢も叶えて次のステージはどこなのかと楽しみにしていました。
 
09年の秋を境に、消えていきます。
「自分のすきなことばかりやってちゃだめだよ」と言われ、引き受けた舞台。アコースティックの「Starlight」。少クラプレミアムで披露した前向きだけど仲間との別れを歌った「Re:スタート」。
 
そして、静かに、消えてしまいました。
 
もうその名前が出ることもない。
∞祭の年表でその名前があったとき、なかったことにはされていないんだな、と涙が出た。
いつまでも緑のギターに貼ってあるステッカーに縋ってしまいます。
 
 
あの時が眩しすぎて、もう諦めてしまっていました。
 
 
2014年6月5日、目が覚めたら世界が変わっていました。
起きて、携帯を手にして、Twitterを見る。ここまではいつもと同じ。でも目に飛び込んできたものは本当に想像していなかったことで。涙がぼろぼろ止まらなくて泣きながらリビングに行って親に報告したのを覚えています。
その日は気が緩むと涙が出てきて仕方なかった。
 
2014年11月30日。
また大きな一歩を踏み出します。ソロデビュー決定。「もしかして、」なんて思ってたけどまさか現実になるなんて。
 
2015年1月15日。
FC枠で当たったので一足先に映画を観てきました。最初から最後まで涙が止まりませんでした。だいすきな人がずっとスクリーンに映り続けてて、クレジットも一番最初に名前が流れる。ずっと憧れていたことでした。
上映終了後に始まったシークレットライブには本当に感動してしまってそれこそ涙と震えが止まらなくて各局のWSにタオルで顔を覆ってるわたしが映ってました…(笑)
 
そして、今日。
2015年2月11日。ついに発売です。
きっと、思うことはいろいろある。本人もファンもわたしも。
でもまずは大きな一歩を踏み出してくれたことに感謝を。きっかけをくれた多くのひとに感謝を。

「今回に限らず、何か続けていくことに意味があるかなと思って、何かどんどん一人でやれる事はグループ以外のとこで一人で暴れるだけ暴れて。で、それを…どれだけのものをグループに持って帰ってこれるかというのが今回に限らずこれからの人生の何か一つ大きなテーマではあるかなと思うので…」

 

劇中のセリフでだいすきなものがあります。
「ありがとう、バンドやらせてくれて。」
ポチ男の言葉なんだけど、彼自身重なるこの言葉。
 
歌い続けてくれて、ありがとう。
ステージに立ち続けてくれて、ありがとう。
ずっとずっとわたしのヒーローです。
これからも近くで、少し遠くで見守り続けさせてね。
 
【記憶/ココロオドレバ】発売おめでとう。

 

 

記憶 / ココロオドレバ (初回限定盤)(DVD付)

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